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知恩院のライトアップ

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2021.11.11

浄土宗総本山知恩院が秋のライトアップ期間となっています。普段は立ち入ることが出来ない場所や暗闇の中に浮かび上がる御影堂をはじめとする歴史ある建物には明るい時間に観るのとは違う壮大さや偉大さの中に有難さを感じることが出来ます。
知恩院には「七不思議」と呼ばれる不思議なものがあります。

1  鶯張りの廊下 歩くとキュッキュッという音がしてその音がウグイスの声に似ており、静かに歩こうとするほど、音が出るので「忍び返し」ともいわれ、曲者の侵入を知るための警報装置の役割を担っているとされています。
また鶯の鳴き声が「法(ホー)聞けよ(ケキョ)」とも聞こえることから、不思議な仏様の法を聞く思いがするともいわれています。

2 白木の棺  三門楼上に二つの白木の棺が安置され、中には将軍家より三門造営の命をうけた造営奉行、五味金右衛門夫婦の自作の木像が納められています。
立派なものを造ることを心に決め、自分達夫婦の像をきざみ命がけで三門を造りました。三門が完成しましたが、工事の予算が超過し、夫妻はその責任をとって自刃したと伝えられています。この夫婦の菩提を弔うため白木の棺に納めて現在の場所に置かれています。

3 忘れ笠 御影堂正面の軒裏には、骨ばかりとなった傘があります。
当時の名工、左甚五郎が魔除けのために置いていったという説と、知恩院第32世の雄誉霊巌上人が御影堂を建立する時そこに住んでいた白狐が濡れ髪の童子となって現れ、自分の棲居がなくなるので新しい棲居をつくってほしいと懇願し、上人が祠を作って祀ったお礼にこの傘を置いて知恩院を守ることを約束したという説とが伝えられています。
いずれにしても傘は雨が降るときにさすもので、水と関係があるので火災から守るものとして今日も信じられています。

4 抜け雀  狩野信政が描いた大方丈の菊の間の襖絵には紅白の菊の上に数羽の雀が描かれていたのですが、あまり上手に描かれたので雀が生命を受けて飛び去ったといわれています。現存する大方丈の襖絵には飛び去った跡しか残っていません。

5 三方正面真向の猫 方丈の廊下にある杉戸に描かれた狩野信政筆の猫の絵ではどちらから見ても見る人の方を正面から見ている様に見え、親猫が子猫を愛む姿が見事に表現されています。親が子を思う心、すなわちいつでもどこでも私達を見守って下さっている仏様の慈悲をあらわしています。

6 大杓子 大方丈入口の廊下の梁に置かれている大きな杓子で大きさは長さ2.5メートル、重さ約30キログラム。
伝説によると真田十勇士のひとりである三好清海入道が、大坂夏の陣のときにこの大杓子をもって暴れまわったとか、兵士の御飯を「すくい(救い)」振る舞ったという話が伝えられています。
「すくう」すべての人々を救いとるといういわれから知恩院に置かれ、阿弥陀様の慈悲の深さをあらわしています。

7 瓜生石  黒門への登り口の路上にある大きな石は、知恩院が建立される前からあるといわれ、周囲に石柵をめぐらしてあります。
この石には、誰も植えたおぼえがないのに瓜のつるが伸び、花が咲いて瓜があおあおと実ったという説と、八坂神社の牛頭天王が瓜生山に降臨し、後再びこの石に来現し一夜のうちに瓜が生え実ったという説や、石を掘ると二条城までつづく抜け道がある、隕石が落ちた場所である等、さまざまな話が言い伝えられている不思議な石です。

知恩院は近年京都屈指のパワースポットともなっているそうです。
境内の奥にある濡髪堂(ぬれがみどう)にはこのお堂に祀られている濡髪大明神が、男女の縁を結ぶご利益を授けてくれると伝えられており、恋の願いを叶えたい人が濡髪堂へ参拝に訪れています。
浄土宗元祖法然上人は、万人を救済するために南無阿弥陀仏を唱え、死後は誰もが平等であることを教え続けた人です。そのため、参拝に訪れる人たちの悩みや不安を取り除く厄払いのご利益があるとされているそうです。
例年に比べて観光客も少なく、コロナ感染も落ち着いている今は訪れる良い機会ではないかなと思います。

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